昨年末に、当ブログでも紹介したが、日本とインドネシア間のEPA(経済連携協定)が今国会で承認される見通しとなった。そして今年7月にもインドネシア人ヘルパー・看護師が来日する。
クローズアップ2008:インドネシア人受け入れ 介護現場と政府ズレ(毎日jp)
フィリピン人ヘルパー・看護師の受け入れが先行していたが、両国間での受け入れ条件などが問題となり、09年度以降へと先延ばしされた(フィリピン人ヘルパーの受け入れ、09年度以降へ延期:日本介護新聞)
日本看護協会や日本介護福祉士会などは猛反発している。外国人労働者を受け入れる前に、国内の労働環境を整えるのが先決だという。
厚生労働省は、今回の受け入れについて「労働力の確保が狙いではない」としている。そのため、2年間でたったの1000人(看護師400人、介護福祉士600人)しか受け入れない。
フィリピン人受け入れについても同様だが、日本の介護労働力を補完するにせよ、しないにせよ、政府として外国人労働者を受け入れる、という事実に対して、国民的議論がなされてなさすぎる。
来日するインドネシア人にとってみれば、(1)安定的に雇用されるのか不安(2)言葉や文化的保護・サポートが受けられるのか不安(3)労働契約はきちんと履行されるのか不安(4)働く資格を獲得するためのハードルが高すぎて不安 と不安だらけだ。
一方、日本の介護労働者も(1)自分たちの賃金がさらに安くならないか不安(2)言葉が通じず、文化も異なる外国人を同僚として受け入れられるか不安。またそれに対する公的サポートが用意されているのか不安(3)介護だけでなく、事務作業などしてくれるのか不安。かえって自分たちの仕事が増えるのではないかと不安 など、こちらも不安だらけ。
さて、実際に介護を受ける高齢者やその家族たちはどう考えているのだろうか。
何よりそこが大事だと思うのだが。
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2008年04月20日
2008年03月24日
在日フィリピン人ヘルパーの派遣事業
介護現場に在日フィリピン人(新潟日報)
この記事では、フィリピンから介護職や看護師を招聘するのではなく、在日フィリピイン人のヘルパー派遣を取り上げている。
フィリピン人ヘルパー関連の記事をクリッピングしていていつも感じるのは「利用者不在」ということ。
この記事でも、在日フィリピン人を派遣する企業や受け入れる事業所の考えは示されているが、では利用者はどう思っているのかというと、それがいまいち見えてこないのだ。
少ない資料・情報を読むかぎり、多少の言葉の壁などはあるにしても、利用者の反応は良い。
さてさて、フィリピン人看護師・ヘルパーの受け入れは延期してしまったが、検討する時間が増えたと考えたい。
それにしても、そろそろ、利用者主体の議論が沸いてきてもよい気がするのだがいかがだろう。
性的な人手不足に悩む介護業界を支援しようと、在日フィリピン人にホームヘルパーの資格を取得してもらい、県内の介護施設に就職させる民間の取り組みが、三条市などで始まっている。これまで県内の介護現場に外国人はほとんどいなかったが、3月中旬までに2人がヘルパーとして第一歩を踏み出した。
この記事では、フィリピンから介護職や看護師を招聘するのではなく、在日フィリピイン人のヘルパー派遣を取り上げている。
フィリピン人ヘルパー関連の記事をクリッピングしていていつも感じるのは「利用者不在」ということ。
この記事でも、在日フィリピン人を派遣する企業や受け入れる事業所の考えは示されているが、では利用者はどう思っているのかというと、それがいまいち見えてこないのだ。
少ない資料・情報を読むかぎり、多少の言葉の壁などはあるにしても、利用者の反応は良い。
さてさて、フィリピン人看護師・ヘルパーの受け入れは延期してしまったが、検討する時間が増えたと考えたい。
それにしても、そろそろ、利用者主体の議論が沸いてきてもよい気がするのだがいかがだろう。
フィリピン人ヘルパーの受け入れ、09年度以降へ延期
フィリピン人看護師や介護士、09年度以降に受け入れ延期(日経新聞)
09年度以降に延期とのことだが、実際は2010年度ぐらいになりそうな気もするが……。記事には、フィリピン側の問題かのように書かれているが、フィリピン側が日本の受け入れ体制に不満を抱いていることも大きい。
厚生労働省は2008年度に予定していたフィリピン人看護師・介護福祉士の受け入れを09年度以降に延期する方針を固めた。日比政府が06年9月に署名した経済連携協定(EPA)には看護師・介護士の受け入れが盛り込まれたが、アロヨ政権の動揺などで比で発効のめどが立たないためだ。
09年度以降に延期とのことだが、実際は2010年度ぐらいになりそうな気もするが……。記事には、フィリピン側の問題かのように書かれているが、フィリピン側が日本の受け入れ体制に不満を抱いていることも大きい。
2008年03月17日
フィリピン人ヘルパー、受け入れ体制は整ったのか?
外国からの介護職受け入れ「日本に問題」(キャリアブレイン)
国内の労働力に頼るにしては、介護報酬が低すぎる。そして海外から労働者を招き入れるにしても、受け入れ体制が脆弱、というより、まともに考えられていない状態だ。
以前も書いたが、今回の受け入れを成功させられない場合、今後、海外から労働力を受け入れることは難しくなるのではないだろうか。
介護:現場で外国人活躍 背景に人出不足−−横浜の特養「よつば苑」 /神奈川(毎日.jp)
労働不足を実感している一部の現場では、記事のように外国人ヘルパーを受け入れているようだ。
外国人ヘルパーを同僚に迎える際の最大の問題は、言葉というよりも、日本語の読み書きだろう。特に介護保険は膨大な書類を作成せねばならず、日本人ヘルパー同様にそれらをこなせるかというと、現実的には難しいだろう。かといって、そうした事務処理だけ日本人に任せるといっても、かえって効率的ではないと思う。
外国人ヘルパーの受け入れについて、わたしは「利用者の希望も考慮すべき」と考えていた。しかし、労働不足ははるかに深刻で、もはや利用者の希望を聞いている段階を過ぎてしまったのではないかと考える。
労働力不足を解決するには、待遇をよくするほかないだろう。
それは日本人・外国人問わずだ。
現状、日本の介護はパートタイムのヘルパーに支えられているといっても過言ではない。しかし、それにいつまでも甘えていては、いざというときに、本当に困ることになるはずだ。
「介護職が足りなくて介護保険はつぶれそうになっている。介護職が不足していることに対し、日本の政府は政策がなさ過ぎる。日本人で介護をやりたいと思っているなら、まず日本人の介護職の待遇をきちんと上げて、みんなが生き生きと働けるようにしなければならない。それで介護職が(日本人で)足りるのか足りないのかを考える。それでも足りないなら、どこかの国に頼まなければならず、受け入れ側として、送り手となる国や受け入れる人たちのことをもっと知る必要がある」
国内の労働力に頼るにしては、介護報酬が低すぎる。そして海外から労働者を招き入れるにしても、受け入れ体制が脆弱、というより、まともに考えられていない状態だ。
以前も書いたが、今回の受け入れを成功させられない場合、今後、海外から労働力を受け入れることは難しくなるのではないだろうか。
介護:現場で外国人活躍 背景に人出不足−−横浜の特養「よつば苑」 /神奈川(毎日.jp)
うち4人はフィリピン籍で、1人はカンボジア籍だ。入所者の女性(75)は「やさしいですよ。こまやかで、よく働いてくれる」。職員の長田栄作さん(23)は「元気でパワーがある。レクリエーションでも僕みたいに控えめに接してしまう所がない」と言う。昨年5月から本格的に採用を始めた碓井義彦施設長(39)は「人材不足が厳しく、将来は外国の労働者に就いてもらうしかない。今から慣れておいた方がいい」と話す。
労働不足を実感している一部の現場では、記事のように外国人ヘルパーを受け入れているようだ。
外国人ヘルパーを同僚に迎える際の最大の問題は、言葉というよりも、日本語の読み書きだろう。特に介護保険は膨大な書類を作成せねばならず、日本人ヘルパー同様にそれらをこなせるかというと、現実的には難しいだろう。かといって、そうした事務処理だけ日本人に任せるといっても、かえって効率的ではないと思う。
外国人ヘルパーの受け入れについて、わたしは「利用者の希望も考慮すべき」と考えていた。しかし、労働不足ははるかに深刻で、もはや利用者の希望を聞いている段階を過ぎてしまったのではないかと考える。
労働力不足を解決するには、待遇をよくするほかないだろう。
それは日本人・外国人問わずだ。
現状、日本の介護はパートタイムのヘルパーに支えられているといっても過言ではない。しかし、それにいつまでも甘えていては、いざというときに、本当に困ることになるはずだ。
2008年01月19日
在日フィリピン人介護士協会がHPを開設
日本介護新聞ではフィリピン人ヘルパーの受け入れについて、これまで何度か取り上げてきた。
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)締結により、フィリピン人の看護師志望者400人、介護福祉士志望者600人の計1000人を上限として受け入れることが決まっている。
建前としては「人材交流」だが、国内の介護職の働き手不足を解決するためのテストとしての受け入れだ。
また日本が諸国との経済連携協定を図る上でヒト・モノ・カネの交流は避けられないこと。そうした視点からも、わたしはフィリピン人招聘には基本的に賛成している。
そこで現状はどうなっているのだろうか。
インドネシアから看護師ら1000名受け入れ(日本介護新聞)でも紹介したが、フィリピンの看護協会が「フィリピンで看護師を育成する日本政府の支援が盛り込まれていない」と日本側を批判。国会でも紛糾しているそうだ。そのため、当初本年度中に受け入れることで話が進んでいたが、どうやら08年度にずれ込みそう。
そんな状態ながらも、LFCAJ 在日フィリピン人介護士協会が活動を紹介するHPを立ち上げた。
LFCAJ 在日フィリピン人介護士協会
そもそもどのような会なのか。
こうした団体があるのは心強い。日本へやってくるフィリピン人ヘルパーには、日本で働く同胞は心強いはずだ。また、受け入れ側の日本の施設などにとっても、日本の実情をよく知り、すでに日本で働いているフィリピン人がいれば、さまざまなことを相談できるだろう。
フィリピン人介護士・看護師受け入れについて関心のある方はぜひアクセスしてもらいたい。
さて、わたしは冒頭で受け入れには賛成と書いた。しかし、この事柄について政府のアナウンスがあまりに少なすぎることに懸念を抱いている。そのことはつまり、国民的意見が醸成されていないことを意味する。そのことを憂慮する。
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)締結により、フィリピン人の看護師志望者400人、介護福祉士志望者600人の計1000人を上限として受け入れることが決まっている。
建前としては「人材交流」だが、国内の介護職の働き手不足を解決するためのテストとしての受け入れだ。
また日本が諸国との経済連携協定を図る上でヒト・モノ・カネの交流は避けられないこと。そうした視点からも、わたしはフィリピン人招聘には基本的に賛成している。
そこで現状はどうなっているのだろうか。
インドネシアから看護師ら1000名受け入れ(日本介護新聞)でも紹介したが、フィリピンの看護協会が「フィリピンで看護師を育成する日本政府の支援が盛り込まれていない」と日本側を批判。国会でも紛糾しているそうだ。そのため、当初本年度中に受け入れることで話が進んでいたが、どうやら08年度にずれ込みそう。
そんな状態ながらも、LFCAJ 在日フィリピン人介護士協会が活動を紹介するHPを立ち上げた。
LFCAJ 在日フィリピン人介護士協会
そもそもどのような会なのか。
在日フィリピン人介護士協会(LFCAJ)は、日本でヘルパーや介護福祉士などの介護資格や、理学療法士、作業療法士、あるいは看護士といった、医療・介護の分野で日本の資格を取った在日フィリピン人のグループです。2007 年10月現在で、こうした有資格者は全国で1,000 人を数えています。(中略)現在、資格をもったフィリピン人ヘルパーたち同士が助け合い、支えあい、日本の介護事業者とフィリピン人介護士とのスムースなコミュニケーションをはかる手助けをし、新しいフィリピン人介護士が日本で働き、学び、日本の高齢社会に十分寄与できるように、健全で、人的交流に貢献できる環境作りのため、2006 年に設立いたしました。
こうした団体があるのは心強い。日本へやってくるフィリピン人ヘルパーには、日本で働く同胞は心強いはずだ。また、受け入れ側の日本の施設などにとっても、日本の実情をよく知り、すでに日本で働いているフィリピン人がいれば、さまざまなことを相談できるだろう。
フィリピン人介護士・看護師受け入れについて関心のある方はぜひアクセスしてもらいたい。
さて、わたしは冒頭で受け入れには賛成と書いた。しかし、この事柄について政府のアナウンスがあまりに少なすぎることに懸念を抱いている。そのことはつまり、国民的意見が醸成されていないことを意味する。そのことを憂慮する。
2007年12月24日
インドネシアから看護師ら1000名受け入れ
外国人看護師ら受け入れ・まず1000人、インドネシアから(日経新聞)
取り交わした協定には次のように書かれている。
フィリピン人ヘルパーの受け入れが取りざたされているが、インドネシア間では協定に基づき、粛々と受け入れが進行している。
フィリピンとの経済提携協定については政府間で大筋でまとまりつつある。しかし、わたしが懸念したように、フィリピン側は特に看護師などの日本の受け入れ体制についてかなり否定的だ。
日比EPAに否定意見相次ぐ・フィリピン上院(日経新聞)
日本の案というのはそのまま、政府の介護労働市場への認識の低さを表しているともいえる。
国内の介護労働市場を底上げしないことには、海外から優秀な人材を招聘することが難しくなるのではないだろうか。
厚生労働省は日本とインドネシアが今夏に署名した経済連携協定(EPA)に基づき、当初2年間で看護師ら1000人を受け入れる方針を決めた。
取り交わした協定には次のように書かれている。
(1)看護師・介護福祉士候補者の受入れ
・国家資格の取得のための必要な知識及び技術の修得
(日本における滞在期間:看護師候補者は上限3年、介護福祉士候補者は上限4年)
・国家資格を取得した者は、看護師・介護福祉士として引き続き就労可能
フィリピン人ヘルパーの受け入れが取りざたされているが、インドネシア間では協定に基づき、粛々と受け入れが進行している。
フィリピンとの経済提携協定については政府間で大筋でまとまりつつある。しかし、わたしが懸念したように、フィリピン側は特に看護師などの日本の受け入れ体制についてかなり否定的だ。
日比EPAに否定意見相次ぐ・フィリピン上院(日経新聞)
協定の目玉である看護師・介護士の日本での就労について看護協会の理事長は「フィリピンで看護師を育成する日本政府の支援が盛り込まれていない」と批判。日本での研修期間中の待遇の見直しも求めた。
日本の案というのはそのまま、政府の介護労働市場への認識の低さを表しているともいえる。
国内の介護労働市場を底上げしないことには、海外から優秀な人材を招聘することが難しくなるのではないだろうか。
2007年11月11日
11/14水、都内でフィリピンの介護人材育成の視察報告会を開催
フィリピンの介護人材の養成状況を報告 ―高齢社会をよくする女性の会(ヒューマン・ヘルスケア・システム)
11月14日(水)18時15分より、東京港区の女性と仕事の未来館にて開催する。
メインは、介護保険の創設に当初から深く携わってきた樋口氏だ。
参加費用など詳細は高齢者社会をよくする女性の会へ。
PO法人高齢社会をよくする女性の会(理事長・樋口恵子)は14日、フィリピンにおける介護人材養成の状況について視察報告会を行う。同会はフィリピンで介護人材がどのように養成され、海外に送り出されているか現地で視察を行った。今回それを報告するもの。
11月14日(水)18時15分より、東京港区の女性と仕事の未来館にて開催する。
メインは、介護保険の創設に当初から深く携わってきた樋口氏だ。
参加費用など詳細は高齢者社会をよくする女性の会へ。
2007年11月06日
フィリピンなど海外介護従事者の情報を提供する専門サイトがオープン
フィリピン・タイ・インドネシア介護士情報提供サービス、ケアルダリ海外介護士サポートサービス開始(プレスリリース)
介護労働力を求めている日本の介護サービズ事業者と、日本に移住して働きたいと考えているフィリピン、タイ、インドネシアの介護士とのマッチングサイトだ。
日本とフィリピンとの国家間では、フィリピン人介護士受け入れが問題になっているが、それを横目に企業レベルでは、受け入れ動きが活発になってきているようだ。
数年後なのか十数年後なのかはともかく、今後間違いなく、海外から多くの介護労働者が来日するだろう。
利用者も介護職も、行政も、そろそろハラを決めないといけない時期にさしかかっているのかもしれない。
日本初、海外介護士の情報提供会員サイト、10年後に50万人の介護士を必要としている日本の背景から、直接、介護事業者が海外介護士の情報を得ることが出来る、初のインターネットサービス。
介護労働力を求めている日本の介護サービズ事業者と、日本に移住して働きたいと考えているフィリピン、タイ、インドネシアの介護士とのマッチングサイトだ。
日本とフィリピンとの国家間では、フィリピン人介護士受け入れが問題になっているが、それを横目に企業レベルでは、受け入れ動きが活発になってきているようだ。
数年後なのか十数年後なのかはともかく、今後間違いなく、海外から多くの介護労働者が来日するだろう。
利用者も介護職も、行政も、そろそろハラを決めないといけない時期にさしかかっているのかもしれない。
2007年10月28日
書籍『サラダボウル化した日本』
![]() | サラダボウル化した日本 Welcome or Reject (光文社ペーパーバックス) 若林 亜紀 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本書は、日本の様々な場所・業種で働く外国人労働者を取材したルポルタージュだ。
「ニッポンITを担うインド人技術者」
「夜の東京/外国人風俗地区」など全11章で構成されている。
当ブログで取り上げたのは、「介護してくれるのはフィリピン人ヘルパー」という章の中で、日本で働くフィリピン人ヘルパーを取材しているからだ。
フィリピン人介護士の受け入れで今、国内の介護業界が浮き足立っている。日本看護師協会は早々に声明を出すし、新聞報道を受けてWeb上でも賛否両論噴出している。
しかし、すでに国内では一部施設でフィリピン人ヘルパーによる介護サービスが提供されているのをご存知だろうか。
本書では、著者であるジャーナリスト若林亜紀氏がフィリピン人ヘルパーが働く都内・某老人介護福祉施設を取材している。
詳細は是非、本書を読んでもらいたいのだが、わたしが読んで気になったことが2点ある。
1点目は、これは各所で指摘されていることだが、介護保険には欠かせない書類作成の問題。取材対象である、フィリピン人ヘルパーは来日10年、20年のベテランで話す分には日本語には不自由していない。
しかし、「ケアプランや栄養管理、リハビリの状況などやるべきこと、やったことを日報に記録しなければなりません」と書かれているように、専門用語を交えながら、仕事内容を文章で報告するのは難しいのが現状だ。
そして2点目は利用者の意向。本書を一部引用する。
フィリピン人のヘルパーを拒否する施設のほうが多いのです。利用者であるお年寄りが違和感を感じるので、施設側もそれを尊重せざるを得ないそうです。(中略)フィリピン人といえば夜の商売であるといった思い込みや、フィリピン人そのものに偏見を持っている場合もあります
結局のところ、高齢者(痴呆症患者)がフィリピン人ヘルパーに介護されることを受け入れることができるのか。そこが肝心なのである。
現在のところ、フィリピン人介護士受け入れにおいて、こうした利用者の視点が欠如しているように感じる。
本書はそうしたリアルな現場を感じることができるのでおすすめしたい。
わたしたちの日常生活にいかに外国人労働者が多いかということは、みなさんも感じていることだろう。
しかし、本書を読んでみると、「ええっ、そんな仕事までしているの!?」と驚くこともあるはず。
前述したが11章のうち1章分がフィリピン人ヘルパーに関する記事で、それ以外は別の業種でのお話だが、仕事の息抜きにでも読んでみてはいかがだろう。
2007年10月08日
フィリピン人の介護・看護師就労問題
日比EPAに否定意見相次ぐ・フィリピン上院(日経新聞)
フィリピインの看護協会理事長の意見はごもっとも。
日本への人材交流(人材不足解消が目的ではないらしい)のため、日本のルールに則って看護師を育成するのだから日本の支援があってしかるべきだ、という主張。
このフィリピン人介護・看護職の受け入れについては、オールアバウトの【介護・福祉】チャネルの記事がかなり詳しいので、関心のある方はぜひご一読を。
日本介護新聞では一昨年からこの件を取り上げてきたが、いまだに色々な角度での意識のズレを感じるし、それが刷りあわされていない。
日本国内においては、(1)政府側の「将来の人材難解消として、とにかく外国人労働者の受け入れ実績を作りたい」という思惑(2)介護・看護労働側の「安易な受け入れは日本人労働者の労働待遇をさらに悪化する」という危惧が平行線のまま。
また、日本とフィリピンとの意識のズレもある。
(1)日本側はまだまだ「発展途上国から労働者を受け入れてやる」という上から目線だし、招き入れるための条件も厳しい。(2)それに対してフィリピン政府はどうにかして労働者を輩出したいものの、フィリピン人労働者には、日本での待遇や労働環境の悪さを危惧する意見も少なくない。
なんか政府間でどうにかやりくりしたものの、両国の介護・看護の現場では相当不満があるようだ。
どちらの考えにも同意できる部分はあるのだが、この議論の最大の欠点は、利用者不在だということ。
介護サービスを利用する人たちはいったいどのように考えているのだろうか。
そこが肝であるはずなのに、報道や関係者のコメントをみても、そうした部分に触れているものはあまりに少ない。
それに、これは以前も書いたが、世界各地に看護職を送り出しているフィリピンに「とてもじゃないが日本なんかには人材は送り出せない」とそっぽを向かれた場合、その他の国からも敬遠される可能性はある。
日本語の読み書きをマスターしながら、3,4年以内に日本の国家資格取得という高いハードルを設けた時点で、それがいいか悪いかは置いといて、現実的に意識の高いプロフェッショナルは日本に来ない気もするがいかがだろう。
とにかくこの件については、もっと議論を深めなくてはいけないと思う。それも専門職や関係者だけではなく、現在・将来の介護サービス利用者たちの意見も聞き入れるべきだと思う。
------------------------------------
過去にエントリした、当ブログでの記事
各紙はどう見る?フィリピン人受け入れ(2006年09月14日)
日本看護協会、さっそくフィリピン人受け入れに物申す(2006年09月13日)
フィリピンから介護福祉士ら1000人来日(2006年09月12日)
フィリピン人ヘルパー、本当にくるの?(2005年03月10日)
協定の目玉である看護師・介護士の日本での就労について看護協会の理事長は「フィリピンで看護師を育成する日本政府の支援が盛り込まれていない」と批判。日本での研修期間中の待遇の見直しも求めた。
フィリピインの看護協会理事長の意見はごもっとも。
日本への人材交流(人材不足解消が目的ではないらしい)のため、日本のルールに則って看護師を育成するのだから日本の支援があってしかるべきだ、という主張。
このフィリピン人介護・看護職の受け入れについては、オールアバウトの【介護・福祉】チャネルの記事がかなり詳しいので、関心のある方はぜひご一読を。
日本介護新聞では一昨年からこの件を取り上げてきたが、いまだに色々な角度での意識のズレを感じるし、それが刷りあわされていない。
日本国内においては、(1)政府側の「将来の人材難解消として、とにかく外国人労働者の受け入れ実績を作りたい」という思惑(2)介護・看護労働側の「安易な受け入れは日本人労働者の労働待遇をさらに悪化する」という危惧が平行線のまま。
また、日本とフィリピンとの意識のズレもある。
(1)日本側はまだまだ「発展途上国から労働者を受け入れてやる」という上から目線だし、招き入れるための条件も厳しい。(2)それに対してフィリピン政府はどうにかして労働者を輩出したいものの、フィリピン人労働者には、日本での待遇や労働環境の悪さを危惧する意見も少なくない。
なんか政府間でどうにかやりくりしたものの、両国の介護・看護の現場では相当不満があるようだ。
どちらの考えにも同意できる部分はあるのだが、この議論の最大の欠点は、利用者不在だということ。
介護サービスを利用する人たちはいったいどのように考えているのだろうか。
そこが肝であるはずなのに、報道や関係者のコメントをみても、そうした部分に触れているものはあまりに少ない。
それに、これは以前も書いたが、世界各地に看護職を送り出しているフィリピンに「とてもじゃないが日本なんかには人材は送り出せない」とそっぽを向かれた場合、その他の国からも敬遠される可能性はある。
日本語の読み書きをマスターしながら、3,4年以内に日本の国家資格取得という高いハードルを設けた時点で、それがいいか悪いかは置いといて、現実的に意識の高いプロフェッショナルは日本に来ない気もするがいかがだろう。
とにかくこの件については、もっと議論を深めなくてはいけないと思う。それも専門職や関係者だけではなく、現在・将来の介護サービス利用者たちの意見も聞き入れるべきだと思う。
------------------------------------
過去にエントリした、当ブログでの記事
各紙はどう見る?フィリピン人受け入れ(2006年09月14日)
日本看護協会、さっそくフィリピン人受け入れに物申す(2006年09月13日)
フィリピンから介護福祉士ら1000人来日(2006年09月12日)
フィリピン人ヘルパー、本当にくるの?(2005年03月10日)
2006年09月13日
日本看護協会、さっそくフィリピン人受け入れに物申す
日本看護協会「安易な外国人看護師受け入れに反対」(日経新聞)
きた!w さすが日本屈指の圧力団体(いい意味でね)。こういう迅速な対応は、介護関係職の団体も見習うべきだ。歴史と人材の層が違う。
ちなみに、日本介護福祉士会のHPを見ると、
フィリピンのフィの字もなかった。
早速、日本看護協会のHPにもリリースが掲載されている。
日比EPA(経済連携協定)フィリピン人看護師の受け入れに関する日本看護協会の見解(PDFファイル)
見解の骨子は次のとおり。
1は、アメとムチという感じでさすがだ。
2は、少し首をかしげたくなる部分。
3については、看護協会として当然入れておかなければならない項目だろう。
日本看護協会も、くれぐれも「抵抗勢力」とされぬようお気をつけください。あ。もうそういう点は大丈夫になるのかな。
介護系ブログならここで探そう(ブログランキング)
日本看護協会は12日、「自国の看護師不足を解消するために安易に外国人看護師を受け入れるべきではない」とする声明を発表した。
きた!w さすが日本屈指の圧力団体(いい意味でね)。こういう迅速な対応は、介護関係職の団体も見習うべきだ。歴史と人材の層が違う。
ちなみに、日本介護福祉士会のHPを見ると、
フィリピンのフィの字もなかった。
早速、日本看護協会のHPにもリリースが掲載されている。
日比EPA(経済連携協定)フィリピン人看護師の受け入れに関する日本看護協会の見解(PDFファイル)
見解の骨子は次のとおり。
1.医療・看護の質を確保するためのフィリピン人看護師受け入れ4 条件
@日本の看護師国家試験を受験して看護師免許を取得すること
A安全な看護ケアが実施できるだけの日本語の能力を有すること
B日本で就業する場合には日本人看護師と同等以上の条件で雇用されること
C看護師免許の相互承認は認めないこと
2.フィリピン人看護師の受け入れは、日本の看護師不足を解消するためではなくあくまでも2 国間の貿易交渉の問題である
3.フィリピン人看護師に対する職場環境の整備・支援が重要である
■ 日本語研修機関や職業斡旋機関の公的機関への一元化
■ 労働条件・環境整備、日本での生活の相談や支援など
1は、アメとムチという感じでさすがだ。
2は、少し首をかしげたくなる部分。
3については、看護協会として当然入れておかなければならない項目だろう。
日本看護協会も、くれぐれも「抵抗勢力」とされぬようお気をつけください。あ。もうそういう点は大丈夫になるのかな。
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2006年09月12日
フィリピンから介護福祉士ら1000人来日
フィリピンから看護師ら1000人受け入れ(日刊スポーツ)
昨年3月に、このテーマについて当ブログで紹介した。
フィリピン人ヘルパー、本当にくるの?(日本介護新聞)
その際、フィリピン人の労働事情に詳しい方や介護の専門家などからコメントをいただいた。現在の問題点などを紹介してくださっているので、興味のある方はぜひ一読いただきたい。
さてさて、フィリピン人の介護福祉士志望者の「質」である。
いやはや、かなりレベルが高いのではないだろうか。
日本側としては、ハードルを高くし、過剰な労働力の流入を防ごうとしたのだろうか。しかし、フィリピンは世界各地へ看護師・介護士を「輸出」している国。やすやすとクリアする人材が来日するのではないか。
今回の受け入れについて、日本側はさまざまな懸念を抱いている。
治安面などを問題視する声もあるが、下記の官僚のコメントからわかるように国内の労働市場の需給バランスが崩れることへの不安感があるようだ。
フィリピン人看護師ら受け入れ、2年間で1千人 EPA(朝日新聞)
しかし、日刊スポーツなどの記事にもあるように、看護師不足はまったなしの状態であり、特に地方では顕著だ。
今後だが、フィリピン以外のアジア諸国での人材輸出の気運が高まるのは確実。
日比経済連携協定、看護師受け入れ数示さず(読売新聞)
今回の受け入れの成否が、大げさにいえば日本の高齢社会、いや労働市場全体の行く末を占いといても過言ではないはず。
介護系ブログならここで探そう(ブログランキング)
日本とフィリピンの経済連携協定(EPA)締結で労働市場の一部開放が決定したのを受け、厚生労働省は11日、当初2年間でフィリピン人の看護師志望者400人、介護福祉士志望者600人の計1000人を上限として受け入れることを明らかにした。国会承認など日比両国の手続きが順調に進めば、07年度初めにも「第1陣」が来日する運びだ。
昨年3月に、このテーマについて当ブログで紹介した。
フィリピン人ヘルパー、本当にくるの?(日本介護新聞)
その際、フィリピン人の労働事情に詳しい方や介護の専門家などからコメントをいただいた。現在の問題点などを紹介してくださっているので、興味のある方はぜひ一読いただきたい。
さてさて、フィリピン人の介護福祉士志望者の「質」である。
入国には、看護師志望者はフィリピンの看護師資格を持ち、3年間の実務経験が必要。介護福祉士も、母国の看護大学卒業か4年制大卒で介護士研修を修了している必要がある。
いやはや、かなりレベルが高いのではないだろうか。
日本側としては、ハードルを高くし、過剰な労働力の流入を防ごうとしたのだろうか。しかし、フィリピンは世界各地へ看護師・介護士を「輸出」している国。やすやすとクリアする人材が来日するのではないか。
今回の受け入れについて、日本側はさまざまな懸念を抱いている。
治安面などを問題視する声もあるが、下記の官僚のコメントからわかるように国内の労働市場の需給バランスが崩れることへの不安感があるようだ。
同日会見した厚労省の辻哲夫事務次官は、受け入れ枠について「日本の労働市場に悪影響を及ぼさない、現実的に可能で適切な数字とした」と話した。
フィリピン人看護師ら受け入れ、2年間で1千人 EPA(朝日新聞)
しかし、日刊スポーツなどの記事にもあるように、看護師不足はまったなしの状態であり、特に地方では顕著だ。
今後だが、フィリピン以外のアジア諸国での人材輸出の気運が高まるのは確実。
インドネシアも日本に看護師などの受け入れを求め、タイは自国の国家資格を持つ調理師が日本で働く条件の緩和について日本と基本合意した。専門性の低い労働力を含め、日本の労働市場開放を求めるASEAN(東南アジア諸国連合)の声が一段と強まりそうだ
日比経済連携協定、看護師受け入れ数示さず(読売新聞)
今回の受け入れの成否が、大げさにいえば日本の高齢社会、いや労働市場全体の行く末を占いといても過言ではないはず。
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