お年寄りの数が増えたことや介護保険サービス利用者の急増で、介護保険給付費が伸びるなか、松山市の保険財政が厳しい状況に置かれている。給付費の財源となる介護保険料が当初の見込みより大幅に不足し、同市は04年度末に1億6千万円を県から借り入れた。このまま保険料が不足する状態が続けば、来年度からの保険料の引き上げの可能性も出てくるという。
介護保険に関する新聞記事では、利用者が増えたことなどによる介護給付費のアップがネガティブに捉えられがちだ。まあ、事業者が利用者に対して必要以上のサービスを提供したりする事実もあるわけだから、斜に構えてしまうのも仕方ない。
でも、利用者が増えるということは、介護保険制度が高齢者など知られるようになり、「身近な制度」になったという証でもある。ていうか、介護保険がスタートする前から厚生労働省はもちろん、新聞各紙は(全国紙も地方紙も)、さんざん高齢者数の増加率やら利用率などを推計していたわけでしょう。しかも、数年前の新聞社の論説では「介護保険を利用しよう」とか「措置から制度に変わるわけだから、利用者は遠慮なく制度を使いまくろう」みたいなことをいっていたではないか。市町村が配布する広報誌やパンフレットも然りだ。
さんざん煽っておいて、いざ実際に利用者のサービス利用率が高まり、地方財政を緊迫させると、その論調はトーンダウンし、制度が悪い!と言い出し、なかには20歳以上から介護保険料を徴収すべきだと言い放つしまつ。
そもそも、たかが5年で破綻する制度は、仕組み自体おかしい。制度を作り上げるのにどれだけ予算を使ったのか。介護保険創設に携わった役人やおえらい先生たちは、いったい何を議論し、研究してきたのか。机上の空論しかできないのなら、二度と審議会などには参加しないでほしいものだ。
…と、ここまでは建前論。はっきりいって、市町村によっては保険財政が破綻することになるというのは折込済みだったはずだ。介護保険は、市町村合併の試金石だといわれている。
つまり、介護保険財政が行き詰る市町村は、近隣と合併する必要がある(介護保険がだめなら、国保もだめだし、どうせ今後の高齢化社会で生き残れないのだからさっさと合併しなさいということ)し、そうした市町村を助けるために制度を変えるというのは無理がある。
批判を恐れずいうならば、介護保険や国保財政が破綻している市町村は、近隣市町村に頭を下げて合併してもらうしかないのである。もしくは、介護保険料を跳ね上げるか。沖縄など一部の市町村では国などから借金をしているが、たかが運営5年でそんな体たらくでは住民がかわいそうすぎる。
もちろん制度の欠陥もあるし、運営者(市町村)の力量や、どうしようもないその土地の事情(要介護高齢者がむちゃくちゃ多い)というものがある。だがそういった各論は、その地域ごとで解決してもらわなくては困るのだ。
