高齢者7人が犠牲になった長崎県大村市のグループホーム「やすらぎの里さくら館」の火災から1年を迎えた8日、現場のホーム跡地で慰霊祭が行われた。犠牲者の遺族や関係者ら約30人が花を手向けた後、新たに建立された鎮魂碑の前で玉ぐしをささげた。焼け残ったホームの建物は現在、取り壊されている。
この事故の後、何が変わったのだろうか。
ご存知のとおり、グループホームにスプリンクラーを設置することが義務付けられたのだ。
グループホームに住宅用スプリンクラー義務付けへ(シルバー新報)
グループホーム関係者が強く反対していた住宅用スプリンクラーの義務付けについては、平屋建てなど一般住宅並みの小規模な場合や、夜間も複数の職員が配置されている既存のホームなどは除くとする除外規定を盛り込むことで決着した。だが、これまで消防法令上、明確な規定がなかったグループホームに新たな規制が設けられることになる。施行令は年内に改正される予定だ。
消防庁のプレスリリースなどを確認したところ、具体的にいつから関連法が改正されたのかがわからないが、記事によるとすでに改正されたようだ。
グループホームにまたも難題(日経新聞)
3月下旬の第5回目の最終会合で報告書をまとめ、「住宅用スプリンクラーの5年以内の義務付け」が決まった。だが、検討会の委員でもある厚労省と運営者団体のグループホーム協会は、一貫して「早急な義務付けに反対」と表明しており、報告書内でもその旨明記された。介護保険の重要なサービスが、その主務官庁の反対意見を押し切ってまで設置基準を変更するという異常事態となっている。 (中略)本来は行司役のはずの委員長は、消防研究所の理事長で「命の安全が守れないなら、運営から撤退すべきだ」と強硬論を唱えた。
このコラムは非常に勉強になるので、ぜひ一読いただきたい。
私もこのコラムを読んで知ったのだが、火災の起きたグループホームはかなり特殊な立地条件・建築条件だったようだ。そのケースを普遍化すること自体にかなりムリがあり、スプリンクラー設置のコストをかんがみても、性急で強固な防災体制の構築は非現実的である、というのが運営者側の視点。
余談だが、コラムにもあるとおり検討会の委員のほとんどは消防関係だった。
さらに余談だが、「やすらぎの里さくら館」を建築したのは、総合経営研究所と木村建設だ。
万が一に備えることは、公的施設だろうが企業ビルだろうが当然のこと。今回の事故によってあいまいだったとされる、グループホームの防災基準が明確になったのは評価されるべきだろう。ただし、防災設備を整えられないために、グループホームが閉園されるとなれば、本末転倒である、という話もあるだろう。しかし、高齢者の痴呆をケアする場所が安全ではないということ自体が本当の意味で本末転倒なのかもしれない。
