厚生労働省や法務省など関連省庁は、日本とフィリピンの経済連携協定で大筋合意した看護師・介護士の受け入れについて、日本側の受け入れ機関を新たに設置する方針を固めた。
ところで、フィピリン人は本当にきてくれるの?
昨年、日比間で締結された自由貿易協定(FTA)により、いよいよ本格的に看護師・介護士の受け入れ体制作りが始まった。この受け入れについて国内では賛否両論分れた。
確実に不足していく介護労働を担う救世主ともてはやされる一方、「外国人労働力が投入されることで、ただえさえ低い賃金がさらに下落しないか」「そもそも、外国人にはコミュニケーション能力が問われる介護の仕事は難しいのでは」などの否定的意見がどっさり持ち上がった。そりゃそうだ。
しかし、肝心の「フィリピン人」や利用者の意見がほとんど聞かれない(というか取り上げられない)のが不思議。だって本来はこの両者の考えでしょう。いくら日本人が「フィリピン人がこられたら困る」なんていっても、フィリピン人的に日本が魅力ある国かどうかもわからない。
それに、いくら「労働力が解消される!」なんていっても、利用者が「日本人がいい」といえば、普及しないからだ。
そこで、ここではフィリピン人の視点に立って考えてみたい。
まず、日本への出稼ぎでフィリピン人が一番気になるのは「給与」だろう。この問題は、外国人労働者が入国することで、日本人の賃金は安くなるの?という懸念に通じる。
これについて私は、日本人と同等もしくは、技量に応じた給与が支払われるはずだと思う。
ある企業が募集していたホームヘルパーの時給は、ホームヘルパー2級の資格を持っていても時給700円であった。正直、これには驚いた。私は学生時代に書店でのレジ打ちのアルバイトをしたことがあるが、時給800円はあった。(中略)その中で私が一番危惧していることは、外国人労働者の登場によって、介護職の待遇がさらに悪くなるのではないかということである。外国人看護師・介護士の受け入れについて〜現場から(JANJAN)
厳しい。非常に厳しい労働環境だ。そこへさらにフィリピン人という「安い」労働力が投入されれば、給与は「叩かれ」大変なことになってしまう……と危惧するのは当然のこと。
だって、フィリピン国内の看護職の時給って100〜200(100〜200円前後)ドルらしいからだ。すげえやすい!「それなら時給500円だって十分ぐらいだ」なんて考える日本人施設経営者が出てもおかしくないだろう。
フィリピン人も「500円でもいい!」と思うかもしれない。
しかし、
看護ワーカーの移入が無制限にではなく、おそらく段階的に実施されると思われるので、労働市場が過剰供給になる前に移入制限が為される可能性が高いこと。また、最低賃金の適用は外国人労働力に対しても行われること。これらの理由から、適切な移入制限と最低賃金の徹底が行われれば、上記のような「看護賃金の値崩れ」という事態は起こらないであろう。日比FTA交渉で見えなくなるもの―フィリピン人看護ワーカー移入問題に寄せて―(政策空間ー日本財団佐藤晶)
フィリピン人の賃金は国内法を遵守した上で設定する必要があり、またそれは必ず守られなければならないからだ。
しかし、こういった問題は現に起きている。
フィリピン人の看護師は「情が深く、気立てがよく、技術もあり、献身的に働く」という特長から、海外で好まれるといわれるが、移住先の環境に何も問題がないわけではない。もちろん賃金はフィリピン国内よりもかなり高いが、診療所勤務での低賃金や長時間労働の強要も報告されている。そこには、外国人看護師を“二級市民”扱いする待遇問題が存在するという。 労働政策研究・研修機構
ただ、もし、フィリピン人看護師、ヘルパーに違法な雇用(賃金設定や労働時間、労働内容)を強いることがあれば、今後間違いなく、日本への看護・介護職での出稼ぎが減るだろう。
それに第一、正式ルートで入国し、さらに日本語教育や日本の介護研修を「わざわざ」受けているフィリピン人ヘルパーが、日本人ヘルパーよりかなり安い賃金で働かされるというのは、あまりリアルなことではないように思える。
そういったことからも、賃金問題は一部の悪徳業者(絶対出てくるだろうな)を除き、おおむね問題ないんじゃないかと、期待を込めてそう言いたい。
さて、最大の問題がある。それは介護の技術力と言葉・文化の壁だ。
はじめに介護の技術力はどうか。
NHKの番組を参考にする。
12年前から日系ブラジル人を派遣社員として受け入れています。日系人はたとえ外国籍であっても、日本国内の介護労働を行うことができます。今では介護職員141人のうち20人を日系人が占めています。病院では日系人の熱心な働き振りを高く評価。「安定した労働力となっている」と言います。(中略)本当に一生懸命働いています。「自分が働いて、国へ送金するんだ」と、一人で右も左も分からないところへ来て働く、その意欲がすごいですね。(鹿教湯病院 永井明美看護副部長) NHK福祉ネットワーク
このケースは日系ブラジル人だが、フィリピン人に通じるところは大だろう。そりゃ家族を背負っているワケだから相当な意気込みなのは間違いない。知らないけれど、昔の地方からの出稼ぎ労働みたいな感覚なのだろうか。
肝心の技術力だが、
最近フィリピン政府は積極的に介護士(ケアギバー)の送り出しを試みている。フィリピンは2003年に約1万9,000人の介護士を送り出している。うち80%が台湾に、残りはカナダ、イスラエルに向かったとされる。(中略)フィリピンでは先進国で外国人介護士の需要が増えると予想して介護士の資格化を行った。ある調査によれば豪州の制度を手本にしているといわれ、フィリピンで介護士の資格を取得するのには6カ月750時間の受講が必要である。一方、日本におけるホームヘルパー2級の資格は130時間の受講しか要求されていない。 フィリピン人看護師と介護士『アジア出稼ぎ最前線』 (nna)
アジア圏だけでく、欧米へも介護士を派遣している実績から見ても、介護力については問題はないだろう。しかし、看護職と比べて介護職は国家ごとにその教育内容が大きく異なるだけに一概に研修時間だけでは比較できないのも事実であるといっておく。
ただ少なくとも、海外に働きに出たけれど、技術的についていけなくて「おまえ使えないよ!」と言われて別の仕事してるとか、別の仕事を「させられている」みたいな状態は避けられるように思う。
しかし、技術以前に「日本語」の問題がある。これが非常にでかい。というかこれが最大の問題。
特に都市部では施設よりもさらに深刻な人手不足の状況にあります。介護の仕事がやりたくてこの仕事に就いても、1年以内で辞めてしまう人が増えています。しかし、1対1のサービスということを考えると、利用者のほうから外国人労働者は選ばれないのではという不安も大きく、受け入れのハードルは高いように思います。NHK福祉ネットワーク
そうなのだ。
そもそも在宅の要介護高齢者が「ガイジンさん」を希望するかどうか、という点についてはまた機会があればまとめるとして、フィリピン人介護職側も慣れない日本語で介護することに相当不安を抱くのは間違いない。私が英語を覚えてフィリピンで介護職につけといわれたら、もうガクブルものだ。
日本政府側はフィリピン人に対し、「日本語能力検定2級以上」の語学力を要求している。これは
「やや高度の文法・漢字(1,000字程度)・語彙(6,000語程度)を習得し、一般的なことがらについて、会話ができ、読み書きできる能力(日本語を600時間程度学習し、中級日本語コースを修了したレベル)」なのだそうだ。
普通に会話できる程度?だが、在宅で高齢者の言うことを理解し、行動できるのだろうか。わがままな高齢者はある意味楽だが、「我慢する」高齢者のニーズを嗅ぎ取り、しっかりケアするのは難しいんじゃないかなあと思う。それに日本特有の文化というか生活習慣があるワケで、そういった言語・文化の軋轢でフィリピン人看護職が苦しむのはなんともカワイソウでならない。
もし本気で(というか本気なんだけど)、フィリピン人を在宅介護に当てるのならば、相当な実地研修を日本側もしくは、例のODAでしなければならない。ODA、研修内容などは今後具体化されていくだろうから、注視したい。
しかし、安心できない賃金問題や言葉の壁など、明らかに大変な日本に、わざわざフィリピン人が来たがるだろうか。
高賃金で同じ英語圏のアメリカや欧州に出稼ぎにいったほうがいいのは間違いない。
日本国内の反対意見はフィリピンでも伝えられているだろうし。。
そうなると、懸念されるような「日本人ヘルパーがクビになる」といった問題は起きないのかも。だけど、それはそれで将来確実に苦しむワケだし、なにより労働力が減った状態で海外からの移民を受け入れようとして足下見られるようになっては非常に困る。
うーん、ここまで考えてみて、フィリピン人介護職の問題って、その問題をなくすことよりも「解決」することを考えなければならないのに、マスコミも業界団体もただ否定するばかりだということに気づかされる。
ここはすっぱりハラを決め、日本が求める介護やコミュニケーション能力はこのまま求めつつも、その課題をクリアしたフィリピン人労働者には、待遇面などできる限り応えられる体制を構築し、内外に発表したほうがいいんじゃないかと思う。
余談だが、猛反発が予想された?日本看護協会は早々に「フィリピン人看護師の受け入れについて(PDF)」という主張をリリースしている。さっすが国内屈指の業界団体。こういった対応の素早さを、介護関連の業界団体は見習ったほうがいいんじゃないの? 業界団体において、その善悪はともかく「沈黙は金」という考えは誤りですよ。
あと「用心棒業界誌」も、もっとこの問題を積極的に取り上げないといけないだろ。
ほんとヤレヤレである。

介護ビジネスニュースの川内です。
私の意見としては、フィリピン人介護士受け入れに賛成なのですが、
まず、ケアスタッフの労働環境を整備と質向上の仕組み作りをして欲しいと考えています。
日本のケアスタッフ不足の解消は急務ではありますが、
ケアスタッフの問題は数だけではないということをしっかり考えて欲しいと思っています。
今後とも宜しくお願いします。
介護・看護の奥深い所は専門ではないので分かりませんが、日本とフィリピンサイドの懸念を良くお考えになられておられますね。
しかし基本的に日本側も(雇用する)もフィリピンに関して勉強する事も必要なのではないでしょうか?風俗・習慣・文化・・など、彼ら彼女らは独特の習慣などがありますのでその部分を理解しなければトラブルの元になったりします。
専門的にフィリピンに詳しい方々などは居られるのでしょうか?そういう方々が居られればかなり違ってくると思うのですが・・・。
仕事の部分は分かりませんが、日常の生活や周りで働く同僚になる方々との間にトラブルが起きなければいいのですが・・。
そのあたりを懸念しております。
突然のカキコさせていただきましたがお許しください。
申し遅れましたが、フィリピンに関するブログの作者、@ババエロと申します。
今後とも宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
私もフィリピン人ヘルパーの受け入れには賛成ですが、「なぜこの時期なのか」という点については非常に疑問を感じています。
受け入れ体制もちゃんとできていないため、国内外で混乱が生じるのは避けられないでしょうから。。
これを決定した会合にどんな人たちが出席していたのかを、ちゃんと詳しく調べる必要がありますね。
はじめまして!コメントありがとうございます。
>しかし基本的に日本側も(雇用する)もフィリピンに関して勉強する事も必要なのではないでしょうか?
そうですね。フィリピン人を雇う施設なり介護事業者(企業)なりは、きっちりと勉強しないといけないですよね。
>専門的にフィリピンに詳しい方々などは居られるのでしょうか?
どうなんでしょう。雇用主なり責任者がそれなりに勉強するようになるとは思いますが、「にわか勉強」程度なんじゃないかなあと思います。ただ、雇用側労働者側双方向けの相談窓口はできたり、公的機関のサポートはあるはずですが。。
課題が山積みです。
今回の取り組みについて、フィリピンではわりと醒めた目で見ているなんて記事を目にしましたが、実際はどうなんでしょうか……。
取り組みが具体化するにつれ国内外からの批判や意見が一気に出されると思います。
今後もこのテーマは追っていきたいと思いますので、ぜひまたお越しください〜。
>、雇用側労働者側双方向けの相談窓口はできたり、公的機関のサポートはあるはずですが。。
課題が山積みです。
やはりその程度なんですね・・・。
う〜ん、かなりこの部分で戸惑うでしょう。
フィリピンの人たちを雇用する(使う)にはそれなりのテクニックと言うか、つぼがあります。そのあたりを理解していかないと、なかなか一筋縄では行かないのです。
いきなり初めてフィリピンの人たちを雇用するわけですから、日本側もフィリピンに詳しい人たちなどからアドバイスを受けるようしていけばいいかと思います。
一つだけお話しすると、フィリピンの人たちはプライドが高い(重んじる)ので、意見やミスについて話す時は個別に呼んで話してあげる配慮が必要です。
人前で怒らない、怒鳴らないなど・・・。
独特のポイントを押さえていけば気持ちよいほど良くやってくれます。
総ての事にいえますが、生活や言葉などフィリピンの人たちは順応性が高いです。
長くなりましたが、皆がこれから先フィリピンの人たちにお世話になっていくかもしれないので、このあたりに興味を持って取り組んでいきたいものですね。
コメントありがとうございます〜。
>人前で怒らない、怒鳴らないなど・・・。
独特のポイントを押さえていけば気持ちよいほど良くやってくれます。
なるほど……。国民性を知るというのはビジネスの基本ですからね。国を挙げてのこと?なわけだし、今後のこともありますからぜひしっかりと準備をした上で受け入れたいものです。
介護メイドです。
コメント・TBありがとうございます。
参考にさせていただきます。
あまり違わないと思うので、看護師・介護士の受け入れについて、日本側の受け入れ機関は、社団法人国際厚生事業団が受け入れる予定ですが具体的に申し込みはどうなり、600名は少ないく、必要機関が多く600名に入らない可能性があれば、日系フィリピンの労働受け入れが確実で、今後、就職先はおおくなると思います。
あまり違わないと思うので、看護師・介護士の受け入れについて、日本側の受け入れ機関は、社団法人国際厚生事業団が受け入れる予定ですが具体的に申し込みはどうなり、600名は少ないく、必要機関が多く600名に入らない可能性があれば、日系フィリピン労働の受け入れが確実で、今後、就職先はおおくなると思いますがどうでしょうか。